肥田 嘉文 (ヒダ ヨシフミ)

HIDA Yoshifumi

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職名

講師

研究分野・キーワード

環境科学,影響評価科学

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プロフィール


研究課題(研究概要)
1.自然が備えているリスク(悪影響)の程度の視覚化による、一般の人の安全観の涵養に向けた取り組み

(1)植物プランクトンが産生するホルモン様物質の特徴づけによる内分泌撹乱概念の再構築
 人類にとっての未知の影響への懸念から1990年代に問題となった「環境ホルモン(内分泌撹乱物質)」の研究に取り組んできたなかで、水環境中の植物プランクトンが捕食された魚に対して生殖腺成熟を抑制する(女性ホルモン様の)作用をもつことを見出し、ホルモン撹乱作用とは、ありふれた自然現象に過ぎないのではないかと考えるようになりました。そして、毒性などの悪影響を、バックグラウンドとなる自然がもともと備えている大きさと相対化して、問題の全体像を俯瞰することの意義を学ぶ機会にもなりました。
 現在は、この植物プランクトンの作用がどのような物質を介してなされているのかを実証するため、物質の抽出・分離、構造解析を進めています。

(2)野菜がもつ変異原性(突然変異誘発性)の変動の特徴の実証と、自然による突然変異頻度のリスク管理の視覚化
 自然物である野菜についてある毒性を評価するなら、人工農薬の残留影響だけでなく天然由来も含めた「総体」としての評価であるべきと考え、特に懸念されている発がん性(そのきっかけを与えるとされている変異原性:遺伝子に突然変異を誘発する作用)に焦点を当て、農薬を使った条件と無農薬の条件で育てた野菜で比較したところ、変異原性陽性の個体が多くあること(野菜そのものが変異原性を持っていること)、農薬を使うと野菜がサボって天然毒性を弱めるかと予想したらそんなことはなく無農薬と変わらないこと、生長期に変異原性が高くなる傾向があること、などがわかってきました。一方で、人が品種改良してきた野菜ではなく、伝統的に食用されてきた自生している山菜、野草についてもみてみると、その変異原性は栽培野菜より低い傾向で、やはり生長期や生長部位(細胞分裂が活発な茎の先端)で高くなる特徴がありました。
 これらの特徴をつなげて考えていくと、野菜の生長時に生じている細胞分裂の過程で複製されている遺伝情報としてのDNAに、そのタイミングで突然変異の生成確率を高める何らかのメカニズムが存在している、と解釈できます。言い換えると、これまで生命進化の源としての突然変異は精確な複製がなされる構造をもつDNAという暗号装置に偶然に生じ蓄積していく現象として理解されていますが、安定な分子DNAには安定な複製に微小な変化をもたらす「変異を産むメカニズム」が併せて存在する可能性が考えられます。つまり、自己複製時に計画的に誘発される突然変異(その内容がランダム)産生の仕組みを併せ持つのが暗号装置DNAの全体像なのではないか、ということです。
 現在は、この自然が選択してきたと考えられる突然変異の誘発率の収斂点、つまり、突然変異の発生頻度の管理”思想”の表れであるリスク受容レベルの視覚化、変異誘発現象のメカニズム解明などを目標に、栽培野菜や野草の野外調査に基づく実証研究を基本に取り組んでいます。


2.人の身体の動きを阻害している要因を脚の形に求め、現状の個人差の記述から検証を試みていく研究

 人が等しく重力を受けて体重を脚で支え立っているのに、脚の筋肉の発達には個人差が見られます。筋肉は鍛えることで発達していくわけですから、筋肉が未発達で細い脚の人がいる事実は、「立つ動作において筋肉の使用を省略できる仕組みがある」ことを示すものではないかと考えるようになりました。そして、筋肉を使わずに済む「釣り合い」が成り立つ仕組みとして、脚全体としての「形」がY字型となっていることに着目しました。この脚の形が保たれることで、体重が床を押す反力が股関節部で外側へと導かれ周囲筋肉(腱)が伸びて元に(内側へ)戻ろうとする力との釣り合いが取れると考えられます。またこれが、股関節の柔軟性の持続性をもたらしている仕組みではないかと考えています。
 そして、「重力に抗して立つ」ことがこの仕組みの本質であると考えれば、歩き始めて間もない幼児は、歩く機会の増加とともに脚の形をはじめてY字型へと定着させこの釣り合いの仕組みを獲得していくと予想され、一方で、その後の成長過程においてこの脚の形が崩れる(脚が「O字型」に変形する)ことになると、不必要な筋肉を継続的に使用して体重を支え立つことになり、脚の筋肉の発達や股関節の柔軟性の低下を生じさせることに繋がると考えられます。筋肉の過度な発達が硬化(柔軟性の低下)を生じ、ひいては腰痛をはじめとする体の痛みの発症(生活の質の低下)へと関連していくが危惧されます。
 脚の形の変形が生じる原因(発生源)としては、伝統的な日常の生活・行動習慣、道具を含めた環境要因が関わっていると推測しています。現在、この仮説の検証に向けて、幼児から10代までを対象に、柔軟性と脚の形に関する計測調査や身体の痛みを含めたアンケート調査に取り組んでいます。

出身学校 【 表示 / 非表示

  • 東北大学  農学部  食糧化学科  1990年03月

出身大学院 【 表示 / 非表示

  • 京都大学  農学研究科  食品工学専攻  博士課程  1999年01月

取得学位 【 表示 / 非表示

  • 博士(農学)  京都大学  2000年01月

学内職務経歴 【 表示 / 非表示

  • 滋賀県立大学  環境科学部  環境生態学科  講師   2019年04月 ~ 現在

  • 滋賀県立大学  環境科学部  環境生態学科  助教   2007年04月 ~ 2019年03月

  • 滋賀県立大学  環境科学部  環境生態学科  助手   1999年02月 ~ 2007年03月

学外略歴 【 表示 / 非表示

  • 大塚製薬株式会社 大津研究所  研究員   1992年04月 ~ 1995年03月

所属学会・委員会 【 表示 / 非表示

  • 日本環境化学会  

  • 日本環境毒性学会  

  • 日本内分泌撹乱化学物質学会 (環境ホルモン学会)  

  • 日本リスク研究学会  

  • 環境毒性化学会(The Society of Environmental Toxicology and Chemistry)  

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研究分野(科研費分類) 【 表示 / 非表示

  • 環境影響評価

  • 放射線・化学物質影響科学

 

研究テーマ 【 表示 / 非表示

  • 植物プランクトンが産生するエストロゲン活性物質の特徴づけによる内分泌撹乱概念の再構築

    内分泌撹乱、リスク評価、評価軸、発生源、影響評価

  • 野菜がもつ天然の変異原性(発がん性)の変動の特徴と自然が許容する突然変異発生率の解明

    変異原性、自然物、化学物質、発生源、安全観、影響評価

  • 人の身体の動きを阻害している要因を明らかにするための研究

    生活の質、身体動作、生活環境要因、影響評価

論文 【 表示 / 非表示

  • Herbicide discharge from rice paddy fields by surface runoffand percolation flow: A case study in paddy fields in the Lake Biwa basin, Japan

    Sudo M., Goto Y., Iwama K., Hida Y.

    Journal of Pesticide Science  Journal of Pesticide Science  43 (1)   24 ~ 32  2018年01月

    10.1584/JPESTICS.D17-061  共著  

    [概要]

    © Pesticide Science Society of Japan. The transport of three herbicides, pyriminobac-methyl, imazosulfuron and pyraclonil from a watershed that includes 40 ha of paddy fields to a drainage canal was monitored in the Lake Biwa basin, Japan. Based on the intensive monitoring of all paddy plots and in the drainage canal conducted on 3 days during and after the application period, the passage of herbicide discharge from the paddy fields to the drainage canal was separated into surface runoffobtained from field observations and percolation flow calculated from the herbicide mass balance. Surface runofffrom paddy plots immediately after herbicide application, discharging a large volume of paddy water, or both processes in conjunction had a significant effect on herbicide discharge. Without surface runoff, paddy fields discharged a consistently high amount of herbicide gradually by percolation flow. These results suggest that considerable amounts of herbicides were discharged into the drainage canal through percolation even if appropriate water management to prevent herbicide surface runoffwas practiced.

  • A calmodulin inhibitor, W-7 influences the effect of cyclic adenosine 3', 5'-monophosphate signaling on ligninolytic enzyme gene expression in Phanerochaete chrysosporium

    T. Sakamoto, Y. Yao, Y. Hida, Y. Honda, T. Watanabe, W. Hashigaya, K. Suzuki and T. Irie

    Springer  AMB Express  2 (7)   1 ~ 9  2012年01月

    共著  共同(副担当)

  • 河川の伏流が表層水中の農薬濃度・流出負荷量に与える影響

    後藤裕子,須戸 幹,肥田嘉文,小谷廣通

    公益社団法人 農業農村工学会  農業農村工学会論文集  79 (5)   375 ~ 384  2011年05月

    共著  共同(副担当)

  • 森林小流域で測定した比流出量の収斂性の検証

    尾坂兼一,乙守利樹,草加伸吾,駒井幸雄,浜端悦治,肥田嘉文,永淵修,國松孝男

    公益社団法人 日本水環境学会  水環境学会誌  33 (10)   167 ~ 174  2010年10月

    共著  共同(副担当)

  • ニゴロブナ(Carassius auratus grandoculis)の血液中のピリジンヌクレオチド補酵素含量

    柴田 克己,廣瀬 潤子,福渡 努,肥田 嘉文,國松 孝男

    ビタミン学会  ビタミン  82 (2)   131 ~ 135  2008年04月

    共著  共同(副担当)

  • Spatial distribution and seasonal changes of pesticides in Lake Biwa, Japan

    M. Sudo, T. Kawachi, Y. Hida and T. Kunimatsu

    Springer  Limnology  5 (2)   77 ~ 86  2004年09月

    共著  共同(副担当)

  • Comparison of nutrient budgets between three forested mountain watersheds on granite bedrock.

    T. Kunimatsu, E. Hamabata, M. Sudo and Y. Hida

    IWA Publishing  Water Science & Technology  44 (7)   129 ~ 140  2001年07月

    共著  共同(副担当)

  • Carotenoids and retinoids as suppressors on adipocyte differentiation via nuclear receptors

    T. Kawada, Y. Kamei, A. Fujita, Y. Hida, N. Takahashi, E. Sugimoto, T. Fushiki

    IOS Press  BioFactors  13 (41278)   103 ~ 109  2000年01月

    共著  共同(副担当)

  • Ultrasonography evaluation of abdominal fat in live rats

    Y. Hida, N. Matsui, T. Kawada and T. Fushiki

    (財)学会誌刊行センター  Journal of Nutritional Science and Vitaminology  45   609 ~ 619  1999年03月

    共著  共同(主担当)

  • Fish (Bonito) oil supplementation enhances the expression of uncoupling protein in brown adipose tissue of rat

    T. Kawada, S. Kayahashi, Y. Hida, K. Koga, Y. Nadachi and T. Fushiki

    ACS Publications  Journal of Agricultural and Food Chemistry  46 (4)   1225 ~ 1227  1998年03月

    共著  共同(副担当)

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著書 【 表示 / 非表示

  • 陸水の事典

    略(400名+1団体)

    講談社サイエンティフィク  999p  2006年04月

    事典・辞書  共著

  • 熱帯農業事典

    略(252名)

    養賢堂  643p  2003年10月

    事典・辞書  共著

  • 運動生理・生化学辞典

    略 (144名)

    大修館書店  525p  2001年07月

    事典・辞書  共著

  • 身体運動・栄養・健康の生命科学Q&A 「栄養と運動」

    略(25名)

    杏林書院  144p  1999年07月

    単行本(学術書)  共著

  • 新生化学実験講座4 脂質 I 中性脂質とリポタンパク質

    古川勇次,肥田嘉文,他64名

    東京化学同人  503p  1993年06月

    単行本(学術書)  共著

総説・解説記事 【 表示 / 非表示

  • PPAR の生物学 -環境因子との関わり

    肥田嘉文,河田照雄,伏木 亨

    北隆館  BIO Clinica  13 (12)   83 ~ 88  1998年12月

     共著  共同(主担当)

 
 

学部講義等担当 【 表示 / 非表示

  • 環境リスク解析法[集水域環境影響調査指針]   2012年04月 ~ 現在

  • 集水域環境学・同実験   2010年04月 ~ 現在

  • 環境化学実験(コンピュータ活用を含む)   2010年04月 ~ 現在

  • 陸域環境機能論   2009年04月 ~ 現在

大学院講義担当 【 表示 / 非表示

  • 集水域環境論   2012年04月 ~ 現在

 

学会等における役職 【 表示 / 非表示

  • 日本水環境学会関西支部  幹事   2000年04月 ~ 2021年03月